ストリップが進化して変質を重ねて芸術の境に入る。生きる力の転化が変態をなす。若林美保の過去は歴史でも
軌跡でもなく、否定であるのかもしれない。限りなく修行が行われていれば、時として異界を垣間見ることもあろう。
自然がもたらす雨、風、雷光の恵み、そんな驚きの世界が、その体にも乗り移る。
俗っぽいストリッパーに対するヒューマニズムは、むなしくも彼女の前では飛び返されていく。その異世界から発せら
れるボディーメッセージは、善と悪、白と黒もなし、エロスを超えた浄穢不二(じょうえふに)なり。
雲がある、次の瞬間にはその形を変え、また次の瞬間には、雲は消えてゆく。人の心も、目に見えるすべての物も、
やがて空しくも、その姿を消していく。まるで雲のように進化、変化し続ける。永遠に。
かつて聴いた盲僧琵琶法師のその語りは異界のざわめきであった。
彼女の踊りにも、非ロゴスから発生してくる驚きが感じられ鳥肌がたって心地良い。